魂が紡ぐ時間

 

 

あの日から2年目を迎えた昨日、

ボクは夕方より予定している

レコーディングの準備に追われる中、

自宅スタジオにて

旧知の新聞記者の方より

インタビューを受けていた。

CDアルバムの発売を目前に控えた

「魂の歌」を主な話題として

取り上げて頂く為の取材だったが、

記者の方が

以前より亡父とも面識があった為、

おのずと父の想い出にも話が及んだ。

インタビューの最中に、

父と手掛けた最後の共作

交響詩集「時の川」の中から

「白川原景」を久しぶりに聴いてみた。

何故だろうか。

曲に聞き入っている際に、

東日本大震災で津波の被害が甚大だった

地域の光景が脳裏に浮かび、

父への想いと相まみえて

不覚にも目頭が熱くなった。

 

2010年の夏頃から

父との最後の共作になるだろう、

との予感を抱きつつ、

交響詩集「時の川」の作曲に着手した。

2011年の春。

東日本大震災の直後に、

両親の郷里である熊本にて

交響詩集「時の川」の初演に立ち合い、

ステージ上で父と共に

満場の心温まる拍手を戴いた情景が、

今でも昨日の事のように想い起こされる。

 

来月16日に予定している

「魂の歌」のコンサート会場に、

もう父の姿はないが、

2011年の春には

まだこの世に生を受けていなかった

愛娘がいることだろう。

 

人生は一滴の滴が水源より大海へと流れ辿り着くように、

昨日も、今日も、明日も、そこにある、

と深く感じ入った一日となった。

 

失われた多くの命へ、合掌。