病は気から

数日前のことです。

数カ月間続いていた殺人的なスケジュールが一段落し、

ホッと一息したのもつかの間、

自宅スタジオ内でのさり気ない動作に「ギクッ」。

そう、ぎっくり腰です。

やはり「病は気から」なのだろうか、と思いつつ只今自宅安静休養中です。

来月から又、来春まで走り始めるので、

「それまでは暫く休養しなさい」という神様の粋な計らいなのでしょうか。

何はともあれ、

今週から来週にかけて久し振りに一献交える約束をしていた数多くの皆様へ。

本当にごめんなさい、ごめんなさい。

嗚呼、情けなや、、、。

エッセイ更新

過日、大切な友人が他界しました。
大学生の頃から、共にプロの音楽家を目指し、支え合い、励まし合い、プロとしての生計を成り立てられるようになってからも、大切な仕事仲間として互いの音楽性を高め合った間柄でした。
家族とも長年に渡り身内のように付き合い、父も母も家族同然の親しみを抱いていました。
大切な友人である彼女は、個性的なヴォーカリストでした。
テレビ・ドラマ「白線流し」「アナザー・へヴン」「怪談百物語」「氷の世界」やNHKスペシャル「海 ~知られざる世界~」。そして映画「殺人の追憶」「さよなら、クロ」などなど。本当に多くの仕事共にしました。
オリジナル・CDアルバム「12 VOX」に収録されている「NEVER AGAIN」を、その天性の歌声を余すことなく活かし、熱唱してくれたのも彼女でした。
彼女とのラスト・レコーディングとなった映画「歓喜の歌」。「聖前夜」と名付けたその曲を、彼女はたった一人の多重録音により、何度も何度も歌い重ねながら、天から降り注ぐような音のカーテンとして響かせました。

慌ただしい海外出張から帰国した夜、彼女の急逝を知りました。
妻の寝静まった我が家の片隅で、溢れる涙を堪えながら弔う如く、彼女の「歌声」に聴き入りました。「聖前夜」はまるで彼女の為のレクイエムにさえ思えるほど、神々しく響き渡りました。
「NEVER AGAIN」の歌詞には、こんな1節があります。
「あなたは死なせない 私のそばにいて」
繰り返されるこの一節に、どれほど胸を掻きむしられたことでしょう。
この歌はボクたちが学生の頃に互いの将来を信じながら、一生懸命に働いたアルバイトで貯めた自費でレコーディングしたデモの一曲でした。
当時から10数年後の2001年。
改めてロンドンのオーケストラをバックに彼女は心からの想いを、この歌の「命」として吹き込んでくれました。

出逢いから約20年という歳月の中で、ボクたちが分かち合い、育んだ音楽性を言葉で表し残すことは出来ませんが、それでも彼女の「歌声」は、いつもこれからもボクたちの側にいます。

どうかその「名」を、その「歌声」を、一人でも多くの方の胸に刻み込んで欲しいと心から願います。

「河井英里」
ボクの大切な大切な人でした。

ありがとう。やすらかにおやすみ。さようなら。

T.
Oct. 2008