気まぐれ談

随分とブログのアップが久し振りとなります。

申し訳ございません。

とにかく今年も例年の如く、

多忙を極めたスケジュールを抱えております。

しかしながら不況の嵐が吹く世情を思えば、

仕事に追われる日々は

本当にありがたく思います。

ボクの知る限りでは、音楽業界、映画業界、放送業界、

いずれも不況の度合が高まる一方の様相を

呈しているかのように見受けられます。

そんな中で、最近身の回りで起きた

ささやかながらも嬉しかった出来事を

記してみようと思います。

一カ月半ほど前のことでしたか、

ボクが唯一定期購読している雑誌「Newsweek」に

「世界が尊敬する日本人・100人」という特集が組まれました。

とある日の午後、

雑誌をペラペラとめくる家内との会話です。

家内 「太郎さんもいつかこういう特集に

     名前が出るようになるといいね。」

ボク 「馬鹿だなぁ、ボクの名前なんかあるはずもないだろう

    アハハハ。どれ見せてごらん。」

ボク「、、、、、え?!、、、ええええ?!」

というわけで、

鼻からボクの名前などないと

思いこんだ家内を尻目に、

しっかりと自分の名前を

特集記事の片隅に

見つけたボクなのでした。

身分不相応ですが、

ちょっと予想外の出来事だったので嬉しく思いました。

自慢話のようで申し訳ありません。恐縮です。

多謝

熱いのやら寒いのやら、

何だか体調管理の難しい季節が続きます。

皆様はお元気にお過ごしでしょうか。

 

昨夜遅く、自宅スタジオで作曲に追われている最中、

嬉しい知らせが舞い込みました。

通称「香港版アカデミー賞」こと「香港電影金像奨」において、

今年度の最優秀オリジナル映画音楽賞を受賞しました。

対象作品は言うまでもなく「Red Cliff」です。

直前まで授賞式にも出席する予定でしたが、

現在、抱えている作品「カムイ外伝」の作曲作業が、

当初の予定より大幅に困難を極め、

香港への出張を取り止めた矢先の知らせに、

一人喜びを噛みしめておりました。

来月以降には来年に向けて、

ジョン・ウー監督に改めてお逢いする機会もあろうかと思いますので、

その際には心から御礼を申し上げたく存じます。

 

「Red Cliff」におけるジョン・ウー監督。

「カムイ外伝」における崔洋一監督。

映画に対する監督の熱意には、幾度となく圧倒されてきました。

制作現場において、

監督自らが命を削るほどの執念を持って

作品に取り組んでおられる姿を目の当たりにすると、

「この作品を台無しには出来ない」との想いを新たに、

全身全霊で作曲に取り組みたい心境へと導かれます。

この数カ月間、

素晴らしい監督や素晴らしい作品との出逢いに恵まれ、

日々充実した作曲家人生を歩んでいます。

その日々を支えてくれる家族、スタッフ、そして音楽そのものにも、

「多謝!」と心から叫びたい想いで胸がいっぱいです。

 

「一生懸命に生きる」

素晴らしいことですね。

 

写真はボクの代わりに、

賞を受け取ってくれたステージ上のALANちゃん。

ボクの秘密

この冬も厳しい寒さやどんよりとした空模様に

うんざりされている方も多いのではないでしょうか。

3月に入り春の予感も漂いはじめましたが、

例年東京では3月中旬になってから、

思いもかけぬ雪に驚かされることもしばしばあります。

これも春の訪れを告げる佐保姫のいたずらでしょうか。

さて花見の季節を間近に控えた今、

ボクがこの冬に大変重宝した秘密のグッズを2点ほどご紹介させていただきましょう。

 

その1 「ディンプレック社のベルリス」

このオイル・ヒーターはこの冬の初めに、

ボクの体調を心配してくれた友人からプレゼントされたものです。

我が家の寝室は3階建ての最上階北側に面しており、

広さが14畳ほどの寝室には床暖房も設置してあります。

が、真冬ともなると、なかなかの寒さに見舞われ、

就寝時には床暖房と加湿器を併用しながら、

快適な安眠環境を夫婦で日々模索しておりました。

そこに、この冬からプレゼントされたオイル・ヒーターを使用し始めると、

これが実に快適で、乾燥しすぎることのない温もりが、

まるでシルクの肌掛けで包まれているかのように一晩中続きます。

「限られた睡眠時間を如何に安眠するか」は作品性にも影響を及ぼすほど、

ボクの作曲作業においては最重要課題でして、

まさしくこの冬の敢闘賞は「ディンプレック社のベルリス」が受賞の運びとなりました。

 

その2 「ホテルインターコンチネンタル東京ベイ特製」4種類のソース
 ・タイグリーンカレー
 ・マイルドビーフカレー
 ・スパイシービーフカレー
 ・ビーフシチュー

今年の年末年始は1月5日からのレコーディングを抱え、

久しぶりに突貫工事状態になりました。

大晦日の夜だけは、恒例のイタリアン・ディナーを友人らと堪能しましたが、

その前後はひたすらに自宅スタジオでの作曲作業に追われ追われての日々。

そんなストイックな生活に、ひとときの潤いを与えてくれたのが

「ホテルインターコンチネンタル東京ベイ特製」4種類のソース。

自称美食家のボクも、思わず食べ過ぎて体重計に乗るのが怖くなるほど、

作曲の合間にガッツリ頂きました。

どの味も大変バランスよいコクが口の中に広がり、美味礼賛の気分にさせてくれます。

こんなソースが常備されているかどうかだけで、

自宅軟禁状態の日々にも、ささやかな潤いがもたらせられるものです。

 

皆さんも、

「安らかな温もりのある日々」「美味しい潤いのある日々」をお望みなら、

ボクの「秘密」を一度、お試しになられては如何でしょうか。

 

成果アリ (?)

最近は日頃の努力が少しずつ報われ、

日によっては甥の龍が仲良くしてくれます。

自分の愛情や誠意を真っ直ぐに伝えようと

努力しているつもりですが、

今一つ伝わっているんだかいないんだか、、、。

こんな実感を伴わない空しい感覚は、

若かりし頃に初恋の彼女に去られた頃を想い出させてくれます。

やはり「日々精進あるのみ」ですかな。

天敵、現る!

恥ずかしながら、

本日やっとブログ上に写真をアップする術を会得しました。

これから順次、写真付きの便りもアップしてみます。

さて、記念すべき一回目の写真付きブログは、

妹の息子、すなわち甥を紹介いたします。

この甥、何故かボクには全く懐きません。

今年の秋で4歳になる甥は、

めでたく春からは幼稚園に入園します。

会うこともしばしばあるのですが、

ボクの顔を見るや否や、フリーズして固まります。

いい加減に仲良くなりたいと願い、

あの手この手で懐柔作戦を展開するのですが、

まったく効き目がありません。

はたらく車などのDVDやマクドナルドのポテトなど、

甥の大好きなものを日々与え続けても、

なぜかボクにだけ心を開いてくれません。

両親は初孫である甥と、

信じがたいほどの連帯感を共有しています。

「今に見てろ」と心で念じながら、

甥の成長を誰よりも心待ちにしているボクにとって、

言うまでもなく甥とのひとときは、心のオアシスとなっています。

 

アナウンサー・コンチェルト

昨日、「アナウンサー・コンチェルト」のDVDが発売されました。

すでにご存じの方もいらっしゃると思いますが、

過日、東京・渋谷のオーチャード・ホールで催しましたコンサート

「アナウンサー・コンチェルト」の模様が、

メイキング(ドキュメンタリー)を交えつつ、収録された異色の作品です。

このコンサート(番組)企画では、

家内を含む日本テレビのアナウンサー20名を楽器としてとらえ、

コンチェルトのような趣で、

オーケストラとアナウンサーの共演を実現させるべく作曲いたしました。

当日は約2時間全11曲を全身全霊で指揮をしましたが、

つくづくDVDで自分の指揮姿を客席側から見ると、

「バットマン2」に登場する「ペンギンマン」のようだと、

思わず自分でも苦笑してしまいます。

ま、何はともあれ1人でも多くの方に

音楽性を重視しながらご覧いただければ幸いです。

さぁ、本日より来年の仕事に関する打ち合わせをこなしながら、

年明け早々に予定している

映画「真夏のオリオン」のレコーディングに向けて、

作曲&オーケストレーションをスタートさせます。

それらの合間を縫って忘年会の宴もあり、

文字通りの「師走」となりそうな気配です。

もう若くはないボクですが、

インフルエンザに気をつけつつ、残り少ない今年を乗り越えてみせます。

Red Cliff Part 1

昨日、日本でも「レッドクリフ パート1」が

無事に劇場公開をスタートさせたようです。

文字通り寿命が縮まるような想いと苦労を

2年以上背負いながら取り組んだ作品なので、

一人でも多くの方々に御覧頂きたく存じます。

明日からは「レッドクリフ パート2」の最終仕上げの為、北京へ参ります。

世界中から集まった愉快なスタッフ仲間が待つ北京での作業は、

シドニーで仕上げた「パート1」の作業にも増して楽しいことでしょう。

本当に楽しみです。

今一つ、完治していないぎっくり腰を抱えながら、

すでに冬将軍の到来した北京へ「いざ出陣!」

病は気から

数日前のことです。

数カ月間続いていた殺人的なスケジュールが一段落し、

ホッと一息したのもつかの間、

自宅スタジオ内でのさり気ない動作に「ギクッ」。

そう、ぎっくり腰です。

やはり「病は気から」なのだろうか、と思いつつ只今自宅安静休養中です。

来月から又、来春まで走り始めるので、

「それまでは暫く休養しなさい」という神様の粋な計らいなのでしょうか。

何はともあれ、

今週から来週にかけて久し振りに一献交える約束をしていた数多くの皆様へ。

本当にごめんなさい、ごめんなさい。

嗚呼、情けなや、、、。

エッセイ更新

過日、大切な友人が他界しました。
大学生の頃から、共にプロの音楽家を目指し、支え合い、励まし合い、プロとしての生計を成り立てられるようになってからも、大切な仕事仲間として互いの音楽性を高め合った間柄でした。
家族とも長年に渡り身内のように付き合い、父も母も家族同然の親しみを抱いていました。
大切な友人である彼女は、個性的なヴォーカリストでした。
テレビ・ドラマ「白線流し」「アナザー・へヴン」「怪談百物語」「氷の世界」やNHKスペシャル「海 ~知られざる世界~」。そして映画「殺人の追憶」「さよなら、クロ」などなど。本当に多くの仕事共にしました。
オリジナル・CDアルバム「12 VOX」に収録されている「NEVER AGAIN」を、その天性の歌声を余すことなく活かし、熱唱してくれたのも彼女でした。
彼女とのラスト・レコーディングとなった映画「歓喜の歌」。「聖前夜」と名付けたその曲を、彼女はたった一人の多重録音により、何度も何度も歌い重ねながら、天から降り注ぐような音のカーテンとして響かせました。

慌ただしい海外出張から帰国した夜、彼女の急逝を知りました。
妻の寝静まった我が家の片隅で、溢れる涙を堪えながら弔う如く、彼女の「歌声」に聴き入りました。「聖前夜」はまるで彼女の為のレクイエムにさえ思えるほど、神々しく響き渡りました。
「NEVER AGAIN」の歌詞には、こんな1節があります。
「あなたは死なせない 私のそばにいて」
繰り返されるこの一節に、どれほど胸を掻きむしられたことでしょう。
この歌はボクたちが学生の頃に互いの将来を信じながら、一生懸命に働いたアルバイトで貯めた自費でレコーディングしたデモの一曲でした。
当時から10数年後の2001年。
改めてロンドンのオーケストラをバックに彼女は心からの想いを、この歌の「命」として吹き込んでくれました。

出逢いから約20年という歳月の中で、ボクたちが分かち合い、育んだ音楽性を言葉で表し残すことは出来ませんが、それでも彼女の「歌声」は、いつもこれからもボクたちの側にいます。

どうかその「名」を、その「歌声」を、一人でも多くの方の胸に刻み込んで欲しいと心から願います。

「河井英里」
ボクの大切な大切な人でした。

ありがとう。やすらかにおやすみ。さようなら。

T.
Oct. 2008